NBN通信4号 2001年4月発行
《 代表の言葉 》
木全 三保子(はづき会)
新世紀ですね。皆さん。
わたくしNBNは、
「広ーくひろーく、トライ!トライ!トライ!」
を夢見ていきたい、と思います。
どうぞよろしく。
点字の未来
副代表 鈴木 芳夫(名視協)
点字離れという言葉を最近よく聞くようになった。点字使用者が、視覚障害者全体の1割にも満たないという数字にも驚かされたが、現実に点字図書館などでも、点字書に比して、音訳書の貸し出し数が上回っているようだ。
この原因はなんといっても中途失明の人たちが点字を使用しないことに尽きる。点字はきわめて規則的に作られているので、文字そのものを覚えることは、それほど難しいことではない。しかし、とくに中高年の人たちにとっての難関は、触読である。若いころから点字を読んでいるものには実感はないのだが、1文字ずつ読んでいくことには、そうとういらいらさせられるらしい。すらすらと流れるように読んでこそ読書である。自然と点字から離れ、音訳書に頼りがちになるのも、やむをえないかもしれない。
中途失明者が急増する現状にあっては、点字使用者はますます減少していくことだろう。活字離れということもよくきくが、これは、「読めるが読まない」のであって、「読めないから読まない」の点字離れとは、そうとうニュアンスが違うようだ。とはいえ、現在は点字を使用していない人でも、一度は必ず点字の門をたたいているはずである。「読めるなら読みたい」というのが現実ではないだろうか。
点字は着実に進化し始めている。点字の欠点として従来から指摘されていたことが、IT技術によって、克服されてきているのである。
点字でもっとも不便なのは、とにかくかさばるということである。ちょっとした文庫本でも、点訳すれば、分厚い本が数冊にもなり、持ち歩くにも、保存するにも大変である。ところが最近、メモリと点字ディスプレーを内蔵した、かなり小型の点字読書機が市販された。点字データを入れて持ち歩けば、どこでも気軽に読書ができる。データもフロッピーなどに保存しておけば、本の置き場所に困るということもなく、もちろん、長い間保存して、点が消えてしまうということもない。まだまだ改良の余地はあろうが、点字にとっては、たのもしいアイテムの登場といえよう。
点字エディタを使えば、従来できなかった、点字の加筆や削除といった編集もできるようになった。十分に編集して、完壁な文章を作り上げてから一度だけ、点字機かタイプライターで清書すればいい。もちろん、点字プリンタがあれば、それにこしたことはない。上記の読書機を持っている人なら、印刷の手間もいらない。
点字も編集が容易な文字になったのである。点字データ作成においても、IT技術は強力な見方である。点字を知らなくても、キーボード入力さえできれば、点字が書けるだけでなく、最近では、スキャナなどを利用すれば、点字を知らなくても、点字が読めるようになってきている。
点字を通して、晴眼者と視覚障害者のコミュニケーションは、ますます充実していくだろう。役所などにも、気軽に点字の書類が提出できる時代も遠からず訪れるに違いない。点字のファックスや、テレビや映画の文字情報のリアルタイムな点字化も実現するかもしれない。多くの点訳ボランティアの方々に、日夜たゆまぬ努力を続けていただいていることをも考え合わせると、点字の未来はけっして暗くはない。
問題はやはり、点字使用者の減少ということになる。より触読しやすい点字の開発を初めとして、触読の鍛練法や指導法にも新たな工夫が必要なのかもしれない。点字が視覚障害者にとって唯一の文字である以上、点字の灯が消えることはないだろうが、優れた機器の普及のためにも、より多くの点字データの蓄積のためにも、ひとりでも多くの視覚障害者が点字を使用できるように、自他ともに努力していかなければならない。視覚障害者のことをよく知らない人たちは、眼が見えない人は、誰でも点字が読めると思っている。
《 グループ紹介 》
「六点会」
中里 きよみ
皆様、「六点会」って耳にされた事ありますか?
名古屋市女性会館で、毎週月曜日に活動しているグループです。
会員は、会館の主催講座で点訳を学んだ仲間で構成されており、産声をあげてから「今年が成人だったかな?来年だったっけ?」と、先日も話していたところです。
講座は何年かに一度開かれる為、講師の違いによりマスあけや書き方で、意見を出し合うこともしばしば。プラス、最近の点訳事情も加わって…。『皆様は迷いや意見交換ありますか?』
点訳内容としては、「視覚障害者の方たちへ、プライベートな点訳サービスを」という目的のもと、リクエストによる点訳(絵本・詩集・小説・情報誌・歌集他)。又、女性会館の講座資料・情報誌・ちらし等も手がけています。「点訳物はなるべく早く読者のもとへ」を心がけつつも遅くなってしまうことも…。『反省、反省。』
点訳方法は、手打ちとパソコンの両方で行っていますが、パソコンはBASEとWIN−BES両方の互換性を見つつ進めています。
点字プリンターは、古いプリンター(ゆっくりで摩耗のため小さくなった点)に、昨年新しいプリンター(速度が速く点もきれい)が入り喜んでいるのですが、時々抵抗を起こすこともあります。『困ったことです。』
最近は、点訳グループがふえてきて、プライベートな点訳も広がってきているかと思います。まだまだ未熟な私たちです。
皆様からのいろいろな情報を受けつつ、私たちなりに地道に歩み、活動を続けるつもりです。
「南点字新生会」
宇津野登美子
平成4年に南社会教育センター(現南生涯教育センター)で、点訳講習をうけた仲間で発足しました。名づけていただいたのは盲人情報センターの岩山光男先生です。
はじめは広報なごや南区版なども手打ちで始めました。しかし、同じものを何部もつくる大変さなどからパソコンを導入、その後点字プリンターを導入と、機器が増えていきました。そうなってくると、倉庫に預かっていただいている機器を活動ごとに毎回移動させ、セットする大変さに変わっていきました。そんな折、平成12年南区役所新庁舎完成と同時に、ボランティアル−ムができましたので、そちらへ活動場所を移動しました。おかげで機器をいちいち移動させる煩わしさから解放されました。
現在の活動としては広報なごや南区版のほか、視覚障害者の方から依頼されたものなど、また児童書を中心に仲間とわきあいあいとやっています
。
今後はBASEからWIN-BES99へと移りゆく時代に取り残されないための学習と新しいメンバーが加入しての活発な活動をのぞんでいます。
《お知らせ》
○ メーリングリストからの情報
差出人 : majo
宛先 : daihyou@n-braille.net
件名 : リンクのお願いm(__)m
送信日時 : 2001年3月9日 22:13
岩手県立点字図書館の点訳奉仕会で点訳をしている東と申します。
3年ほど前からネットに出入りしていますが、一番最初に見て歩いたのが点字関係のホームページでした。
さほど知られていない事柄だと思っていたのに、意外に多くの方々がネットで頑張ってらっしゃるのを見て、励みになったものです。
自分のホームページを作るにあたって、私には何があるだろうと考えた時、長年続けてきた点訳をメインにと、作ったのが下記のページです。
http://www1.freeweb.ne.jp/~majo/pandora.html
”パンドラの箱”
今度点字関係のリンクを大幅に増やしたいと考えております。
ぜひ、リンクをお願いします。
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興味のある方は是非リンクしてみて下さい。
○ 別刷りで「NBN図書一覧」をつけました。前回ご報告しましたのが163番まででしたので、それ以降3月現在までのものを掲載いたしました。
○ 次回、総会の日時については、追って連絡いたします。
[編集後記]
新年号をと思っていたのが、新春号になってしまいました。次の総会も近づいてきます。多くの団体の参加があるとよいですね。
21世紀に入り、インターネットをしている会員がいないグループはまず0だと思います。一方、視覚関連のホームページ(HP)をのぞいてみる気になった人は?のぞいた内容から話が盛りあがったことのあるグループは?
こんなことの積み重ねで「視覚障害」への理解が少しずつ前進していくと思うのですが…。
NBNは「点訳」中心ですが、HPをのぞいた人がグループ内でも話してみたくなる内容(会話)がたくさんあると良いと思います。又、この冊子を読んだ人がHPをのぞいてみたくなったら、とてもうれしいです。(どんなでしょう…?)
(広報)
[連絡先]
名古屋点訳ネットワーク事務局
名古屋市社会福祉協議会
ボランティアセンター内
〒462-0844 北区清水4−17−1
TEL 052−911−3191(代表)
FAX 052−913−8553
NBNホームページアドレス http://www.n-braille.net/