2002年6月発行
《 代表の言葉 》
春から初夏にかけて日本では一番物事が活発に動きだしますね。
そんな中でNBNの年度替わりを迎え、6月2日に次年度へ向けての総会を開きました。
私は1昨年の6月の総会でNBNの代表の役を預かりました。
今、NBNのホームページを見ますと、多くなったデータ登録者とそのデータ、いよいよ活発になっていくかな?と感じています。
といっても結局はHPの更新、データの管理、講習会の内容、どれをとっても平瀬氏、中島氏に負うところ大でありました。感謝します。
今後また新しい代表に代わって運営されますが、HPを盛り立てていくには、参加者の声が大事であろうと思います。ほんの小さな声でも出していただくことで大賑わいになることを願っています。
皆さん今後ともよろしくお願いします。そして有り難うございました。
(木全三保子)
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平瀬 徹
日本の点字の統一と体系化のために発足した最初の組織は「日本点字研究会(昭和30年)だそうです。日点検は、盲学校を主とした組織で、十年間の間に「点字文法」とその改訂版、「点字数学記号」「点字理化学記号「点字邦楽記号」等を精力的に出版しました。私が盲学校の小学部に入学した昭和45年の教科書は、日点検が定めた点字表記でした。「、」や「・」はもちろん「。」も使われていませんでした。「点字毎日」や日本点字図書館の出版書や点訳書は、昭和50年代になってもこの表記が使われていました。
1966年に、全日本盲教育研究会に点字部会が設けられ、盲教育会と盲人社会福祉会の両方から委員を出しあい、学識経験者も加えて、日本点字委員会が発足しました。
日点委は、日本の点字表記を決定する唯一の機関として誕生し、点字表記法の統一と体系化を目指して活動を開始しました。そして1971年、「日本点字表記法(現代語編)」を編集・発行しました。
このときから、「。」が使用されるようになりました。夏休みの宿題のプリントから急に「。」が入り「何だこりゃ」と思ったことを覚えています。
そして、1980年に「改訂日本点字表記法」が発行されました。このときの改訂内容は、「大きい」を「おーきい」と書いていたのを「おおきい」と表記するようになり、助動詞を続けるようになり、伏せ字記号も新設されました。
そして、1990年の改訂では、拍数による分かち書きが取り入れられ、それまで動詞の後の「する、して」を例外なく続けていたのが、四字熟語の後など切るものも出てきました。
そして、この度の点字表記改訂です。私が点字を使って生活する中で、三回の点字改訂がありました。その中で最も親しみやすいと感じたのは、1980年の「改訂日本点字表記法」です。「ネット ワーク」「インター ネット」など、元が続けて書くものを「長すぎると読みにくいから」と切るなんてナンセンスだと思います。
「点字毎日」は、未だに「、」「・」は使用していません。それはなぜなのか・・・・。ほぼ10年ごとに改訂される点字表記が視覚障害者に受け入れられていないからだと思います。
私は1980年から大樹会(旧六つ星会点字出版部)の活動に参加させていただいています。もし点訳活動に関わりを持っていなかったら「点字表記法」も「点訳の手引」もわざわざ買って勉強しようという気にならなかったような気がします。
「中途失明者に読みにくいだろうから」ということで段々切って書くものが増えてきているようです。でも、はたしてそうなのでしょうか。
記号は少ないほうが読みやすいという声は大樹会の読者からも寄せられますし、点字毎日の投書にも多いです。しかし、切ることによって前の文節を忘れてしまい、また読み直さなければならない、という声も耳にします。アルファベットの二重大文字符も使ってほしくないとか、メールアドレスを書くときに「@」を「アットマーク」とかな書きしてほしいという声も大樹会に寄せられています。
国語審議会の動きに合わせて、点字も墨字に近づけようというねらいもよく分かります。また、できるだけ点字表記を合理的に分かりやすくしようという気持ちも分かります。
しかし、「する」や「して」は迷うなら全部切ってしまえ、というのはどうなのでしょうか。外来語も拍数だけで切ってしまっていいものなのでしょうか。段々日本点字表記が国文法から離れて行くようで残念です。
日本の点字は、日本の視覚障害者の共有財産です。視覚障害者が社会的に発言し、多くの情報を収集できるためには、早く読み書きでき、意味を正確に理解できるものでなければなりません。
学術書などには「、」や「・」も必要でしょう。しかし、新聞雑誌の切り抜きを点訳するときは、記号が少なく読みやすいことのほうが大切ではないかと思います。そのため、点字毎日は未だに「、」や「・」を使用していないのだと思います。
私は、小説を読むなら漢点字です。いくら区読点を正確に入れていただいても、漢字がなければ作者の意図は正確には伝わらないと思うからです。
ボランティアの方々が一生懸命点字を勉強し、きれいな点字を書いて下さることには頭が下がります。
皆さんのところにも、視覚障害者から感想や点訳依頼のお便りが届いて「ひどいなあ、きたない点字だなあ」とお感じになることがあるのではないでしょうか。
とくに年配の方でなくても、自分が最初に学んだ点字表記から抜けられない人が多いようです。それが明治から築いてきた日本点字の文化だと思っている方もいらっしゃるのかもしれません。
でも、本当のところは、あんまり細かい所で悩むよりは、どんどんたくさんの点訳資料を世に出していただきたい、というのが多くの視覚障害者の願いだと思うのですが。
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寄稿
名視協 鈴木芳夫
点字表記がまたまた改訂されました。またまたという印象が強いのは私だけではありません。
私の周囲の人たちにきいてみても、「また改訂か!」という返事が返ってきます。そんなに頻繁に行なっているわけでもないでしょうが、なにしろ文字のことなので、そんなに度々いじられるのは、利用者がとまどうだけで、得るものは少ないように思われてなりません。
「する」という助動詞を、離して書こうが、くっつけて書こうが、そんなことは読むときにはさほど気になりません。
点訳ボランティアの方々に比べると、視覚障害者は、本当に点字表記に関しては無頓着です。だから、現在の点字表記で正しい点字を書くことのできる視覚障害者は、本当に少なくなってきています。(中には表記にうるさい人もいますが)
私が点訳ボランティアの方々にお願いしたいのは、そんなに正しい点字表記にこだわっていただきたくないということです。日本点字委員会は、より読みやすく書きやすい点字をということで、改訂を行なっていることとは思いますが点字毎日の読者欄にも、「改訂は理用者を混乱させるばかりだ」との意見が掲載され、点字委員会関係者の苦しい弁明を読んだことを記憶しています。
「ますあけで迷ったら、とりあえずあけておく」。というように、気楽に考えていただきたいものです。
ボランティアの方にあまりすばらしい点字を書いていただくと、私たちが恥ずかしい。
私は詳しいことは分かりませんが、活字の世界でも、読点の打ち方は、人によって違うようです。もちろん、きちんとした規則はあるのでしょうが、読むときにはそんなことはさほど気にならないと思います。
点字の世界では、今でも読点の問題が解決していません。読点を使用している点訳本も増えてはきましたが、中途失明者を中心に、読点があると読みにくいという意見も多く点字毎日はまだ読点を使用していません。
いろいろな点訳書を読んでいると、分かち書きも千差万別、けっして点字委員会が設定した表記どおりではありません。
点字は私たちが日常使うものです。だから、あまり難しく考えたくないのです。
気楽に使いたいのです。
どうぞよろしくお願いします。
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名古屋高速の黒川ジャンクションのすぐ南、高速道路に巻かれるような所。名古屋市総合社会福祉会館の6階点訳室が活動拠点です。
はづき会は普通の点訳と漢点訳を行っております。
毎週水曜日が漢点訳。木曜日がかなの点訳です。
どちらの活動日にも男性の参加がありますが、なんせオバタリアン世代が多いので大変かしましいので、ひょっとして男性諸氏は内心あきれて居られるかもしれません。
毎週は新聞ニュースの切り抜きを主にしております。
1週間ニュースから選んで入力したものを朝から一斉に校正から点字プリント、発送まで一貫してやってしまいます。ちょっとそれだけでも騒がしいうえに…。
参加ボランティアは会館へ出席しているのが合わせて約20名ほど。ほかに自宅で入力・校正などの協力者が30名ほど。
読者は40名を超えます。会員制(会費は年500円)になっています。図書館やリハセン、盲学校などへも提供しています。
漢点字は全国的にもグループが少ないので、盛んにもっと全国へ紹介して下さいといわれますが、点字プリンタなどの能力が小さくてまだ、口コミのみに限っております。NBNへも漢点訳本の紹介は控えております。全国の漢点字愛好者の皆さんごめんなさい。
ボランティアグループで協力しあえるものなら出来る限りはしたいと思っています。今、他のグループからのデータの提供などをしてもらっています。しかしどうもはづき会自身が他のグループへ協力したという例はまだ少ないのかな?どうも自分たちの点訳活動で手一杯なんですね。
これからもお世話になります。よろしくお願いします。
2002年4月記 はづき会代表 木全三保子
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こんにちは。私たちは名古屋市緑区の「点訳ポチの会」です。最近NBNにも点訳データを載せていただいているので、名前を知っていらしゃる方も・・・
と思っています。
私たちは平成3年に緑生涯学習センターで行われた点字講習会の後、有志が集まり自主グループとなりました。人数もだんだんと増え、現在は20数名となっています。
名前の由来は、ポチポチと点を打つ音とポチポチ(ゆっくり)やっていこうということでつけられました。
現在活動としては、広報区内版をはじめ、新聞(社会・経済面、スポーツ記事、ナゴヤマル、中日春秋、将棋)、尊厳死協会会報、小説・・・と手打ち・パソコン共に頑張っています。
昨年は、パチンコ協会より50万円の寄付を頂き念願の点字プリンターを買うことができました。また、4月からは緑生涯学習センターの資料室を読み合わせ・点字打出しに優先的に無料で貸していただけるようになり、大変喜んでいます。
毎週月曜日の午後、活動していますので、都合がよろしかったらぜひ遊びに来てください。第4月曜日はセンターがお休みのため長根台コミュニティセンターで行っています。
今後ともよろしくお願いいたします。
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《お知らせ》
★ 第1刷りのてびきを買われた人は訂正があります。
P42 聞こえよがし …… 「よがし」の下線を「がし」の部分のみに。
P110 訂正 110ページ下2行を次のように訂正
(2)ト書き 情景の説明などは第1段落挿入符で囲んで書く。
登場人物の動作や情況などを示すカッコには第一カッコを用い前後ろを一マスあるいは二
P167 湿度 → 温度
★ てびきを郵送で送ってもらったところには連絡が入るそうです。
点字版は大丈夫とのことです。
★ 新しい問題集が販売されています。3冊に分割されています。
内容は今までの3倍以上ありそう。解答集はナイーブネットから。
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[編集後記]
今回から依頼があった場合を除いて墨字での送付を中止しましたので
更に楽になりました。でもその代わり大勢の皆さんにホームページを
覗いて頂きたいので、気がついた方は会の皆さんにお伝えして頂けたら
と思います。よろしく。
法規の改正で悩んでいるところが多いようです。自分たちの書き方を
今一度考える機会になればよいと思います。
毎回言われるままに誰に文の依頼をするかを決めて、依頼をし、
集まるのを待っていただけの広報でしたが、無事終わりほっとしました。
皆さん気持ちよく引き受けてくださったので、困ったりすることもなく、
楽しくやっていくことができました。有り難うございました。(広報 大倉)
てびきの改訂に伴い、ボランティアも読者も一様にとまどっているようです。
何が正しくて、何が間違っているのかなんて事は、さほど大した問題ではなく、
いかにたくさんの情報を共にわかち合えるかということが一番大切なのではないかと思います。
規則にとらわれず楽しい点訳活動でありたいと私はいつも思っています。
何だか何も広報らしいこともできない内に、2年が過ぎてしまいました。
皆様のお力をお借りして、ただ原稿を集めて編集するだけの広報でした。
どうぞお許し下さい。そしてありがとうございました。(広報 花井)
[連絡先]
名古屋点訳ネットワーク事務局
名古屋市社会福祉協議会 ボランティアセンター内
〒462-0844 北区清水4−17−1
TEL 052−911−3191(代表)
FAX 052−913−8553
NBNホームページアドレス http://www.n-braille.net/