NBN通信7−4
《講演会&交流会》(3)
    《質疑応答&交流会》
 昼食をはさむ休憩時間も、浦口氏への質問・参考図書の紹介と販売、平瀬さんによる最新メカの紹介・ボランティアどうしの情報交換 etc. etc.みっちりと有意義な時間として活用されていましたが、午後1時すぎより約2時間、講演を受けての質疑応答と、意見交換を通じての参加者どうしの交流が行われました。
 全ての意見をご紹介することはできませんが、話題となったいくつかを、以下に記していきたいと思います。
▼まず口火を切って、「〈新しい表記法やてびきにボランティアの声が反映されていない〉と先生のお話にあったが、東海点字研究会に参加するボランティアの意見はかなり反映しているが…」又「〈表記法の改訂は点訳者の増大によるもので低きに流れる傾向がある〉とのお話があったが、中途失明者の増大ということも大きくて、そういう人たちにとって読み易いように、という理解もあるのでは…」との意見。
 浦口氏からは、まず1件目について、「東京では優秀なボランティアの意見が全くと言ってよいほど通らない実態があったので、そうお話したのですが、東海地方ではまた違うのですね、教えていただいてありがとう」。2件目については「中途失明の方や習いかけの人用のやさしい点字というのがあってよいと思うが、そういう人たちのために、今までの歴史のある点字を安易に改訂してよいものではないだろう。又、アメリカの英語の1級点字、2級点字のように、いろんな形の点字を認めることが大事ではないか。あまり表記にこだわると、あれか、これか、になってしまう」といった主旨の応答が。
▼点訳を始めて、まだ経験が浅いというボランティアさんからは、「利用者の方はきっちり完璧な点訳文を求めているのか、多少不出来でもたくさんほしいと思っているのか、どちらでしょうか?」との質問。これについてはこの会に参加して下さった視覚に障碍のある方々から「たくさん、早く読みたいから、多少不出来でも大歓迎だ」との声。浦口さんからも、「当面質より量ではないか。少しでも早く、に応えていくことがもとめられている」と。
▼「各グループで何か困っていることはありませんか?」という問いかけに対し、会場からズバリ「財政難です!」との声。それに対し、浦口さんから、社協とのつながりで助成金をもらうマル秘テクニックや、非公開の助成金を狙う方法 etc.のお話。また「受益者負担で、利用者の方から紙代などもらっているよ」というグループの報告など。
▼名古屋ライトハウス所長さんからは「今まで蔵書作成が主だったが、利用者のニーズとボランティアのニーズをつなぐ、 “ニーズ to ニーズ”の活動を立ち上げたいと考えている。施設ボランティアだけではまかなえない。NBN、いや、全国のボランティアさんに協力をお願いしたい」との発言。
▼最後に、せっかくの機会なので、“拡大写本”についてもお話を伺いました。まず拡大写本を必要とする弱視者は全国の視覚障碍者、約30万人のうち20万人ほどを占めるというのに、拡大写本は今までほとんど拡がってこなかったという現況。
 そしてその理由として
◎点字図書館が扱ってこなかったこと
◎点訳には認められている、著作権や郵送料についての特典が拡大写本には無いこと。
◎社協が養成講座を開いてこなかったこと、
などを挙げられました。
 又、現在の拡大写本の活動が、手書きで、図や表も多くとても難しい教科書作成に追われていて、負担が大きく、なかなかボランティアが増えないという悩みも話されました。それで、浦口さんが中心になって活動されている視覚障碍者読書支援協会では、教科書は行政でやるべきだ、と要請していくとともに、自分たちは普通の本の拡大をということで取り組まれており、又、誰でもきれいで見やすい拡大写本が作成できる、パソコンを使った拡大を推進されているとのこと。
 そういうお話を受け、会場から、点訳だけでなく拡大写本もやっていますというボランティアさんが、「やはり自分たちも教科書に追われていて、難しくてやれないとやめてしまう人も多い。ボランティアも増やしたいし、注文も受けたいので是非みなさん連絡して下さい」と発言。

 まだまだ報告したい内容はありますが、紙面の都合でこのくらいにまとめさせていただきます。朝10時から午後3時までという長時間に渡る会となりましたが終始なごやかで、かつ真剣な熱気につつまれ 皆さん満足して帰っていただけたものと思います。
                                  【文責・井階】
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