点字表記に関する勉強会を開催しました。

加藤先生がホワイトボード前でお話されている写真です" 日 時  平成18年11月3日(金・祝)10:00〜16:00

会 場  名古屋港湾会館 4階第5会議室

講 師  京都ライトハウス情報ステーション所長 加藤俊和先生

参加者  60余名

平瀬代表の挨拶、隣には浦口さんがすわっている写真です。

 今年度NBN最初の行事として企画致しました今回の勉強会は、3連休の初日でもあり、参加者の心配をしましたが、会場は熱心な点訳者仲間でいっぱいに埋められ、皆さんの点訳への情熱をあらためて感じさせられました。
 今回の勉強会は、7月の総会の折、「視覚障がい児童からもらうお便りと点訳のてびき等の解説書の表記に違いがあるが教えてあげた方がいいだろうか?」という質問があったのをきっかけに企画されました。
 講師としてお招き致しました加藤先生のやさしく、楽しい、そして何より触読者の立場に立ってのお話に終始引き込まれ、点訳は触読者の為のものであるとの思いを新たにさせられた一日でした。
 午前は「点字はこうして生まれ拡がり移り変わる・・・」というテーマでご講演を頂きました。一時間の昼食のあと、午後の前半は「点字の表や触図の基本」についてのご講義を頂き、後半は参加者からの質問に様々な例を挙げながらお答え頂きました。
 その一部を紹介します。
 テーマの講演に入る前にお話頂いたことの中で非常に印象深く、心に残ったことが二つありました。
 コンピュータの発達により点字の世界でもエキストラや、エーデル等様々なソフトが作られ、多くの点訳者に使われるようになり機能も改善されて来ているが、コンピュータだけでは完全な点訳、作図は出来ないので、点訳者の手が必要な部分は多くある。
 「マスあけはあまり問題にならないが、誤字はあってはならない」。点字を書いたり入力した時には必ず校正が必要である。校正は3回程度では間違いはなくせない。カナ文字での校正、特に画面のみでの校正は見落としがある。広辞苑は7校しているそうであるが、新しい版が出ると前の誤字が訂正してある。点字の本は墨字から点字へ変換しているから、誤りがあって当然。しかし、誤字は絶対見つけなければならない。マスあけは意味の関わりはあるものの大半は読める。(読者から誤字の指摘はあってもマスあけの指摘はないそうです。)また、マスあけは入力の時にマスあけをしっかり統一しておかないと、単なる申し送りになり、ランクが下がるのみである。大切な事はウエイトの置き方として誤字をなくすことの方が大事という事を踏まえて点訳すべきであるというお話でした。
 もう一つは、「建物の入口などに備えられた点字の触る案内板の利用者は皆無」ということ。案内板を触って自分の行き先を理解するには2、30分はかかる、人は一ヶ所に一分以上も立ち止まってさがすという事に耐えられないという人間の心理に反するからで、迷えば中に入って声をかければ済むことだからです。私の町のある会館にも触る案内板がありますので、考えさせられたお話でした。


「点字はこうして作られ拡がり移り変わる・・・」

 点字は素晴らしい物である。それがどう素晴らしかったかと言う事を見直してみたい、という事で資料を基に次のようなお話がありました。
1.視覚障がい者の文字の歴史・・・人間の文化は凸文字、彫る文字から始まった。
このお話の中で、1840年に生まれたウィリアム・ムーンが考案したムーンタイプといわれる凹凸の文字は、RNIBに引き継がれて現在も使用者があり、要望があれば1部でも印刷して提供している。このことこそ点字は一人の人のために作るものであるということを物語っていると思いました。

2.「ブライユの点字配列表」を味わいませんか?
  ルイ・ブライユはアルファベットを考案する前に楽譜を考案していた、という初めて聞くお話でした。1825年、点字は16才の少年が奏でる教会音楽から始まりました(6点点字の考案)。基本の音符(全音符)をムマヘメミホモ(ドレミファソラシ)にして、配列表を作り、文字はその表をそのまま当てはめ、1836年にWを追加しました。
  1828年(19才)助教師、1833年にはノートルダム寺院のオルガニスト、
  1829年解説「言葉、音楽、そしてグレゴリオ聖歌を点を使って書くための盲人用の方法」・・・など。

3.日本の点字の発案
  1888年(明治21)日本点字の研究(小西信八校長)、石川倉次。
  ブライユの点字は63文字、日本の仮名文字は48文字、濁音は文字ではない、飾りである。6点の組み合わせは、触って区別は44.仮名文字は48文字。4文字不足。
  日本の点字は世界でも有数の普及率。それは聖書の完全点訳出版は世界第2番目であること、1925年(大正14年)普通選挙法に点字投票が明記された(法律では世界初?)ことなど、権威としての点字も世界でみとめられている事からも分かる。

4.「点字の文化」を考える
  点字触読の人口 ―― 点字触読者は約3万人、漢点字使用者は約300人いる。
「点字を読めるのは視覚障がい者の10分の1」という言い方は良くない。音訳図書利用者が増加して、点字利用はその10分の1であるが、これは世界でもトップの使用率であり、ヨーロッパ各国では50分の1くらいだそうです。 日本では10分の1もいる! 何処が悪い! と加藤先生は声を大にして仰いました。
一人一人の点字使用者が必要とする情報を提供することは普通の健常者と同じ生活に近づけるために必要である。

5.これからの点字
 点字を音声で読む。
現在ナイーブネットの個人ユーザーは4500人いる。
点字データは素晴らしい音声データである―― 読み間違いがない(誤字がないことが前提)、マスあけがしてあり音の区切り目がはっきりしている、など。
漢点字も漢字がそのまま出てきて非常に重要な要素であるが、音声で読んでもテキストファイルを読むのと同じような誤りになる。墨字をどう読みとるのか、どう感じ取るかということによる。


マスあけについて

 先生がお持ちになられた墨字の本「日本点字表記法」「点訳のてびき」「点字表記辞典」「点訳のてびき Q&A」の位置付けについてのお話がありました。
「日本点字表記法」:日本点字委員会の委員の方達の創意が集められて作られ、承認されたものであり、これが基になって「点訳のてびき」「点字表記辞典」「点訳のてびき Q &A」が出来ている。点字は本来触読し読み書きする人のもので、点字でどう表記するかであり、どう点訳するかではないということから、点訳のためではないというのが表記法の立場である。

「点訳のてびき」:点訳者の立場に立っている、公的なもの。
「点訳のてびき Q&A」:てびきの解説書で、かなり踏み込んだもの。
「点字表記辞典」:何処からも公認されていない、点訳者用。100%は使えない。表記辞典の方が正しいと言う訳ではない事を心して、点訳者の責任で使用すべきもの。

日本語は膠着語(中国語、韓国語、ハングル、アラビア語など)でマスあけが難しい。このような言葉は63個以外の点字の組み合わせでカナ的に表そうとするには無理に何処かを切らなければならなく、その切り方は日本では点訳者にゆだねられている。それはマスあけの混乱を招き、手引きなど拠り所にするものが必要になる。


「点字の表や触図の基本」

午後の部の前半は「点字の表や触図の基本」というテーマでお話を聞きました。
自動点訳ソフトについて。エキストラ、IBUKI−TEN、お点ちゃん、などがあり、かなりの正確さで、任せてもいいくらいの機能を有している。コンピュータの進歩と相まって普通の日本語や言葉であれば100%に近い変換が出来るようになると思うが、人間ですら迷う言葉が沢山ある、マスあけに迷うときは前後の文から判断すると言うことになると、コンピュータもまだ難しい要素がある、というお話でした。
現在一番困っている事の一つに触る図形がある。
 一般校へ行っている生徒の教科書をボランティアが点訳することは、本来はいけない事。
 本当はそれをサポートする人がその子の実状を見ながら点訳や作図について判断するものであり、教科書は教える材料の一部である。今の教科書が統合教育を受ける盲児の教科書としてふさわしいか疑問。小学1・2年の生活科の教科書は盲学校用のものはない。図が多いため、点訳が難しい。一目で分かる写真や挿し絵は、触図にしても分からないと考えた方が良いというお話でした。

1.点字の見出しやレイアウト
表紙ワク―― 触読上適しているのは連続線。音声読み上げにも適しているのは上下線で、左右の縦線はない方が良い。表紙データを作るときは、32マス35行で入力しないと縦線がつながらない。
点字の見出し――見出しの種類が多い部分を見通してレイアウトを決める。
小見出し符は長い見出しには適さない。
大きい項目の終止符 ―― 章・節など大きい項目の本文の最後に、8マスあけ棒線等を書く事が多い。棒線の位置は偶数マスあけて奇数マスから始まるようにする。この区切り線は、本文がページの最終行となった場合省略する。
点字の囲みワクの種類 ―― 全マスワク、4マスあけワクなど
4マスあけワク:数学などの重要な式・定義等 気づくため。
後でさがしやすい。ワクの中は3マス目から普通に書いてよい。
ワクの線は2・5に限らず、区別の必要があるときなどは2・2・2等でも良い。
4マスあけワク:

前後を4ますあけて 端が え下がりと 句点 その間が 2 5の点字の線があります
(点字文略)
前後が4マスあいていて 端が りと ろで その間が 2 5の点字線があります
ページの区切り線 ―― 全マス2・5の連続線で、本文と区別する線として、その下に注記、図等を置くことが出来る。
 ※ ページの区切り線の下を注記として使用する場合、その注記が次のページにいってはならない。次頁の頭は前頁からの本文の続きなので注記はその頁で完結しなければならない。
仮に、注2がありその注記2がその頁に入りきらない時は、本文の注2から次頁に移す。その結果注記1の下の行がたくさん空くことになっても良い。
 やむを得ず注記を次頁に書く必要がある場合は、1行目に「注の続きと分かる線」などの表示が必要である。
 図や表の挿入位置 ―― 表の位置は、本文に表について表示された直後の段落の切れ目。
  図の位置は、本文に図について表示された下の欄外または後ろ頁。
離れる場合は、本文に「図―1(○ページ)」などを書く。
 横長の図や表 ―― 紙面を横向きにして読むことを「横書き」とよぶ。
        横書きの方向は、縦長である点字本の右側を下にした方向で読めるように製本しなければならない。

2.表の点訳
表は開きワクと閉じワクで上下を挟む ―― 前述の全マスワク、4マスあけワクなど。
表の点訳の工夫(図も同様) ―― 文章化、略記・「注」による補い、記号に置き換える(最小限度に)など。

3.触図の特徴と作成手順
 触覚・触図の特性 ―― 触図は、全体をみわたせない。簡単な触図でも10〜30分必要。個人差が大きい。情報量が非常に少ない。(B5版の地図の情報が、触図では墨字の情報のざっと400分の1)
 触図は分かりにくいもの ―― 触図は理解しにくい
 処理1:文章化して図を省略する ―― 写真や挿し絵は多くの場合省略して良い。
 処理2:「触図化編集」の手順 ―― 「目で見る図」を「触読の図」にするときは触図特性を配慮して行う。内容がよくわかっている人の適切な助言が必要な事も多い。
4.触図作成上の配慮
 触図化の基本は大幅な簡略化 ―― 最も重要な情報のみに厳選して大幅に簡略化する。立体的な表現は避ける。
 線の使い方と工夫 ―― エーデルの凸点の大きさの大中小の3種類は、触覚上そんなに大きな差ではない、など。
 線や記号の留意点 ―― 線と線の交差は指が乗り越えにくい、引き出し線は出来るだけ避ける、言葉で図を補う。
グラフの書き方 ―― 交差するグラフ線は、区別出来るのは3、4種類、など。
立体的な図は目で見た図―― 見取り図、立体図は触っても分からない。平面的な図に置き換えるのが基本。
 作図方法の選び方 ―― 種類:点字プリンター、立体コピー、貼り付け、サーモフォーム、(発砲、UV等)。
手作りの作図方法:様々な作図用語で多彩な触図が可能。
 墨点字フォントのダウンロードと解説のあるURL:http://www.eonet.ne.jp/~tecti/tecti/br-font.html

統合教育での説明資料
 盲学校の点字教科書「著作本」では編集委員が十分な配慮。
 統合教育の点字教科書 ―― できるだけ点訳上の配慮点を墨字で作って教師に。

大勢の点訳仲間を前にお話をされる加藤先生の写真です

質疑応答

 午後の後半は質疑応答で、参加者からの質問に様々な例を挙げながらお答え頂きました。

[グループA]
問 ―― カッコの表記法について。
答 ――「( )内に」の表し方としては、「(1ますあけ)ナイニ」、「( 2の点 3つ)ナイニ」(試験問題中、空欄記号を使い分けする必要がある時。一般書の中でも使用しても良いが、出来るだけ「(1ますあけ)ナイニ」を使う方が良い。)

問 ―― 原本の記号がいろいろ使い分けされているとき、そのまま使い分けをして良いか。
答 ―― 大きく分けて2通り。記号で使い分けるか、注で補う。
本文中に注を(注1)、(注あ)のように使い分けてある場合、注記符で挟める文字は数字のみで、a,b,cや、あ、い、う 等は挟めないので、その場合は、区別を付けたい時は100番台、200番台・・・は何の注と始めに書いておいて表す方法や、別にその言葉を書き出して説明する方法、がある。
本文中で記号が使い分けてある場合は、わざと注記号をつけて、それぞれの記号を説明する方法。星印(第1〜第3まである)を付ける方法もある。いろいろな指示符を使い分けるのは読みにくい。

[グループB]
問 ―― 長い見出しの記号について。小見出し符は適当でない理由と、25・25の記号を付ける方法は良いか。
答 ―― 小見出し符が適切でない理由は、探しにくいからで、後で読み返すことがあまりない場合や、読んで行ってすぐ記号が分かるような場合は、使っても良い。
 星印はあまり対応すべきではないが、やむを得ない時(後で見返さなければならない場合や、2マスあけでしか書けないときなど)は使用しても良い、しかし使う場合はその本の中では同じ形のものは星印にしなければならない。
 教科書等では、番号や序列のあるものに置き換える場合があるが、原本にないのにあるかと思ってしまうから避けたい。
 2マスあけで25・25を使う方法は、見出しの他に出て来なければ1つの方法だが、この記号は良く出てくるし、イコールと同じ記号でもあり間違えられやすいので、避けた方が良い。
方法として、4マスあけカギカッコ、4マスあけ丸カッコ という方法もある。ただし他で使われていない場合に限る。

問 ―― 教科書の図形で実際に線を測ってみようと言う場合について
答 ―― 拡大教科書の場合は実寸。点字の場合も2センチを測らなければならないなら 2センチの実寸を書く。又、拡大して何倍にして書いてあると伝える、という方法もある(2倍くらいまでが良い)。

問 ―― 図形などで、入り組んでいるものや、1対2対3対4などと中に図形のある四角を点字で書くときはそのまま1対2対3対4になるよう考えて作るのか。
答 ―― 比率で表すのは許されるので、比率だけ書いて実寸は測らないでいい場合は、例えば全部2倍にしておいて書くと言うことも出来る。形の中にはまりこんでいるような場合は、その部分だけ取り出す。

問 ―― 本の1巻のページ数が160ページを越える場合について、教科書など200ペ―ジくらいになるときはどうするか。
答 ―― 160ページを越えることは禁止ではないが、バインダーに綴じられない、はじけてしまう、重い、など生徒にとっていいことは何もないので、データが1冊であっても2分冊にしている例もある。
  点字教科書の場合はお金をもらってやる場合があり、分冊の変更が出来ない例もある。

[グループC]
問 ―― 明治大正時代に書かれた文語体の文章で旧仮名遣いを原文通り、例えばテフテフとか、何々ハ、何々ヘ、のように書かないで、現代仮名遣いで書くのは何故か。
答 ―― 古文の表記の基本的な考え方として、擬古文(明治以降)は、古文扱いにしないというのが一般的。明治以降現代に至る作家で古い表記を使う例があるが、現代文に置き換えてかまわない。その根拠として、一つは、平安・室町・江戸と変わって行く中で品詞の扱いが変わっていること。もうひとつは、古文であっても漢語は長音を使う、旧仮名遣いは和語しか使わない、というのが大原則である。それは、そこまで歴史的仮名遣いで書かれると点字では読めない。何故かと言えば、墨字には漢字がありそれを手がかりに意味を知り読めるが、点字はカナしかない。質問のテフテフ ちょうちょう(蝶々)は漢語なので、チョーチョーとしか読めない。
上記の大原則のもと、江戸時代以前の和語は旧仮名遣いを使われるが、明治・大正時代は幅があり、昭和期になると歴史的仮名遣いは使わない、というのが大原則。
盲学校の点字教科書の中でも教育上必要な時以外は使わないのが一般的。
 社会科関係の資料集については、木簡等古い物などは引用した和語の部分は旧仮名遣いがそのまま使われるが、他はかなり厳格に扱われている。場合によっては試験問題や資料集が現代文っぽく直してあり、部分的に歴史的仮名遣いが残っていても全部現代文にしている場合もある。
現代の小説家が歴史的仮名遣いを好んで使っていても現代仮名遣いで書いても良い。視覚障害者は手がかりとなる漢字がなく非常に読みにくい。(解説、論評の部分に使われている場合は別。)
[グループD]
>問 ―― 文部省の手引きを基に楽譜点訳をしてきたが、インターネットなどの情報と違う時は、どちらに合わせるのが良いか。
答 ―― 現在の盲教育の中で使われているのは日本特有。(国際的には1922年に改訂された。)
 日本で点字楽譜を使う人は専門家であり、どんな書き方でもマスターされる。
 相手が特定されている場合は、利用者の読みやすいように書く。
  一般的点訳や、蔵書にする様な場合で、読み手が盲学校の生徒さんであったり、専門的な教育を受けていない普通の方の場合は、従来の方式でないと読めない。
意味がとれない。
セミプロ的な人が読む本の場合は、1922年の改訂版に合わせても良い。
 国際的に統一されても、各国は古い物はそのまま使いながら、必要な時だけ改訂版を使用している。

※ 下記の文は学習会後のHさんからのコメントです。
 点字楽譜の和音表記には、大きく分けて音程法と音符法の二種類があります。
1955年頃までは、世界的に音程法のみを使用していました。
1954年に開催された点字楽譜の国際会議で、新たな点字楽譜和音表記法として、イギリスのS.ローガン氏によって「音符法」が提唱されました。
 その2年後の1956年に、H.V.スパナー氏が編集され、WCWB(世界盲人福祉協議会)から出版された、「Revised International Manual of Braille Music Notation 1956」(『世界点字楽譜解説』の原本)では、「音符法」についての記載は、「付録」の部分に扱われました。
 日本では、音符法が初心者に特に分かりやすい面も持っているので、教育に適していると判断され、盲学校教育の中に全面的に採用されました。そして、将来は音符法が中心になると予測し、邦楽点訳法も追記して1972年に出版された「世界点字楽譜解説」の本訳版では、第6章第4節で音符法が取り上げられています。
 また、1984年に出版された文部省編「点字楽譜の手引」が盲学校の音楽教科書製作の基準になっています。
 ところが、世界的には音符法はあまり採用されていないことが1992年の国際会議で判りました。
「世界点字楽譜解説」の墨字版が絶版になったのを受け、1992年の国際会議後に出版された「新国際点字楽譜記号解説」(英語版)の翻訳を楽譜点訳の会「星」がし、ホームページ上に公開しました。
http://hoshi-81.mints.ne.jp/manual.html
 グループDさんのご質問にあった「インターネットの情報」というのは、「新国際点字楽譜記号解説」のことではないかと思います。
 なお、詳しい事情については、http://www.twcu.ac.jp/~k-oda/VIRN/JARVI-MLTD/music/gakufu-brail.htmlに加藤先生が書いておられます。

[グループE]
問―― 点訳のてびきQ&AのQ17で「USA−TODAY」の表記について、外引符の中ではハイフンの後の大文字符は継続されるのかリセットされるのか。ハイフンの後の文字が最初だけ大文字で後は小文字の場合の書き方の違いについて。
答 ―― 始めに外字符と外引符の使い方の違いの説明から、外字符で書かれた中は日本語であり、外引符で書かれた中は外国語であると言うことを認識して考える。
アルファベットで書かれた略称と語句の場合の書き方について。
USA−TODAY」がハイフンで繋がれた1語であれば外国語引用符で囲んで書くが、引用符の中は英語点字の表記になるので、「外国語引用符 二重大文字符 u s a 3 6の点 t o d a y 外国語引用符閉じ」と書く(英語表記の中では大文字符はハイフンを乗り越えるので、ハイフンの後も大文字符が継続している)。
  「USA−ABC」のように全てが大文字のアルファベットである場合は,ハイフンの後ろは日本語表示になるので 「外字符 二重大文字符 u s a 3 6の点 外字符 二重大文字符 a b c」 と書く。
  「USA−ABC」が「USA−abc」 のようにABCが全部小文字であれば「外字符 二重大文字符 u s a 3 6の点 外字符 a b c」と書く。
 「USA−TODAY」が「USA−today」のように TODAYが全部小文字の場合は、ハイフンで繋ぐ前に、大文字符をリセットしなければならないので、USAの次に終止符(ターミナルサイン)6の点、3の点を書き、次にハイフンtoday を書く。
外国語引用符 二重大文字符 6の点 3の点 3 6の点 t o d a y 外国語引用符閉じ
「ABCs」のように大文字の文字の最後だけが小文字の場合の書き方は、外字符には小文字符はないので、「外字符 大文字符 a 大文字符 b 大文字符 c s>」と書く。<br>
「ABC−s」のようにsの前にハイフンが入れば、「<img width=172 height=16 src=」と書く。

問 ―― 外引符と外字符の使い分けで、英単語や略称の書き方でどちらを使うかの判断基準について。
答 ―― 略称(例:NATIONAL, PANASONIC, SONY, SHARP, TOSIBA, NATO など)
メーカーの商号なので、どちらとも言えない。読み方が綴り読みか、単語的読みかで機械的に決めている所もある。全部外字符でかいている所もある。ギャップは大きい。
NATO を外引符で書く人はいない。 外字符でNATO と書いてあっても読める。
人間が何処まで馴染んでいるか、あるいはその単語とどれだけ離れたか、によるのかも知れない。日点委の中でも意見が分かれている。統一して使う。

問 ―― 「USA:United States of America」の中のコロン(:)の後の書き方に付いて。
答 ―― 始めにこのコロンの意味を考える。英語のコロンか、日本語のコロンかの判断がいる。
 日本語のコロンと考えた時は、日本語の点字にはコロンという記号はないので、USA(・・・・・・)、USA ――(棒線)のあと外引符で囲む、見出し的な使い方の時は「USA 1ますあけ」 のようにマスあけにしたり、カッコの中に入れる場合もある。
全部が外国語であると言う場合は、外国語の表記に従う。
外国語引用符 二重大文字符 u s a 2 5の点 大文字符 u n i t e d 1マスあけ 大文字符 s t a t e s 1マスあけ o f 大文字符 a m e r i c a 外国語引用符閉じ 

以 上


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