NBN通信22号

名古屋点訳ネットワーク
http://www.n-braille.net/
                E-MAIL: daihyo@n-braille.net
           2012年8月発行

――――  目 次  ――――

〜〜 新代表 挨拶 〜〜
ごあいさつ  中西 和子

〜〜 4月1日 交流会 〜〜
「『災害ボランティア』の方をお招きして」 報告
「点字愛好者と点訳ボランティアとのコミュニケーション」 報告

〜〜 7月1日 総会 〜〜
総会報告
「盲学校の生徒さんたちと歌を作られた森崎先生を囲んで」報告



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

10月28日(日)地下鉄「矢場町駅」ナディアパーク・デザインセンタービル6階において
「ぼらチャリ2012」の「点字ボランティア体験」コーナーを受け持ちます。
ご家族・お友達 お誘いの上、ご来場ください。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




〜〜 新代表 挨拶 〜〜

ごあいさつ

  中西 和子


 この度、NBNの代表をさせていただくことになりました、中西和子です。
 NBNが発足したのは、パソコン点訳が便利だという理解が広まりつつある頃だったと思います。点訳者でパソコンに慣れている人が少ないため、中島 正二さん(現、NBNホームページ管理人)があちこちの点訳グループのサポートに行く中で、あったらいいなぁと感じられ、ネットワークを立ち上げたと認識しています。
 その後、ネット環境は急速に進展しました。発足当時とは違って、知り合いがいなくても様々な情報を得ることができます。パソコンに強い点訳者も増えました。
 それでも、顔を合わせて交流したり活動したりすることでもっと大きな宝物が手に入ることも感じています。その宝物を大切だと思ってくださる方々が、NBN総会に出席してくださったり、役員を引き受けてくださったことを大変嬉しく思っています。
 所属されている点訳サークルの活動や、ご自身でのボランティア活動などに差し障りのない範囲で、無理なく・楽しく・役に立つ、NBNの活動を目指したいと思います。皆様も、気軽に楽しく、ご参加・ご協力をお願いいたします。



〜〜 4月1日  交流会 〜〜


「『災害ボランティア』の方をお招きして」 報告


岡田雅美さんの写真1
日時 : 2012年4月1日(日)10時〜15時
場所 ; 名古屋市総合社会福祉会館7階研修室
参加者 : 23名、他 社協から2名

 「名古屋みどり災害ボランティアネットワーク」代表の岡田雅美(ますみ)さんに、東日本大震災後ボランティア活動を行った際の体験をお聞きして、私たちが災害に備えて心がけておくべきことについて教えていただきました。

 先遣隊として、まずボランティアができることを調べに行った岡田さんは、被災地で地元の中高生が活躍するのを見ました。しかし彼ら自身も被災者であり、自宅で生活しながらボランティア活動をしているため、炊き出しの恩恵を受けられないという現状を知り、そういった地元のボランティアのための炊き出しをしました。
岡田雅美さんの写真2
 また、お風呂に2週間以上入っていない方たちへ足湯をして、マッサージをしながらお話を聞いて触れ合うこともしました(プールの水を足湯に使い、その後トイレの水洗に使用したそうです)。そしてその時 聞いた話を「つぶやき集」という小冊子にまとめ、被災者の生活改善のために役立てました。
 さらに仮説トイレには照明がなかったので、懐中電灯をぶら下げ、段差が高くて高齢者や障碍者には大変なので、知り合いの「レスキューストックヤード」に頼んで、洋式便座や手すりを取り付けました。
 岡田さんはそのほかにも、さまざまな活動を通して、被災者・ボランティアと触れ合って来られました。その時岡田さんが聞いた「物も大事・金も大事・でもそれより大事なのは人との関わりでした。」という被災者の言葉は、災害に備えて私たちが心がけることを教えてくれています。

 災害弱者(災害時要援護者)は高齢者や障碍者だけではありません。幼児や妊産婦、ことばがわからない外国人、逃げる途中で怪我をした人など、一人で避難できない人はみんな要援護者になります。ですから私たちは自分の住んでいる地域、避難する場所、避難経路を知ることが必要です。

 最後に、私たちの身近な問題、この地方での大雨の被害や、3種類ある避難所の使い方、また無料耐震診断、家の中で地震の被害からどう身を守るかなどの防災について、避難所で私たちはどんな物品が支給されるか、どんな生活になるかなど具体的な話を聞いて災害に備えるということはどういうことかを実感することができました。
 また お土産に 防災ハンドブック・ストラップつきの笛・ごはん・乾パンをいただいて帰路につきました。



「点字愛好者と点訳ボランティアとのコミュニケーション」 報告



交流会の写真1


 午前の講演会に続いて午後から20名が参加して 交流会を行いました。
 名古屋市社会福祉協議会ボランティアセンター副所長の小林 陽(あきら)様と夏目様にも参加していただき、小林様はご挨拶の中で「社協では『つながりと支え合い』をテーマにしていて 異分野のボランティアさんとのつながりもできていけたら」とおっしゃっていました。
 その後、参加者の自己紹介をしました。NBNの新しい書籍データ登録システムに登録して読者の反応があったことをサークル内で喜んでいるという嬉しい報告もいただきました。

(以下に参加者の皆さんから出された意見を箇条書きします)

話題1 読者の声を聞きたい
 読者と交流のない点訳サークルもある。
 読者からお便り・感想メールをいただくことがある。
 点字には必ず手書きの手紙をつけている。
 返信用封筒入りのアンケートを送る。
 年令が小さい頃は点字の便りだったがメールができるようになったらメールで近況などを教えてくれるようになった読者がいる。
 読者の声はどんな意見でも反応があると嬉しい、会で喜びを共有したり、検討したりする。

【読者さんから】
 なかなかお返事が書けずに申し訳ないとのお答えがありました。
 メールの方が返事がしやすいね、という意見もいただきました。
 郵便が自分に来た手紙だとわかると嬉しい。


交流会の写真2

話題2 点字依頼を受けるには
 交流会や福祉祭り・外出する企画での場がチャンス。
 読者との接点が長い間なかったが、社協から障碍者への点字の勉強会の手伝いを頼まれたことがきっかけとなって点字の依頼を受けられるようになった。
 ホームページでグループの点訳状況を見て、点訳内容が多分野に渡っていることを知ってもらえたことで全国から依頼を受けることになった。(例:琴譜)
 社協にサピエに登録できるように考えてもらっている。
 道で会った視覚障碍者の人に声掛けをして読者になってもらった。
 グループのチラシを役所の福祉課等においてもらう。
 全国教科書点訳連絡会に参加する。つながりがあることで依頼があることもある(年会費要・参加費要・資格不要・セミナー有)。
 視覚障碍者協会等の行事に参加する。
 一人の読者の方からたくさんの依頼をもらえることもある。
 一人の読者の方の友人も読者になってもらうようにする。


話題3 点訳物を読んでもらう方法
 サピエにデータ登録する(登録には参加費要、資格要)。
 NBNデータベースに登録する(無料、まとまった1冊の本でなくてもOK、読者がダウンロードすると登録者に通知が来る)。

 視覚障碍者の方が、取扱説明書の点訳もしてもらえることを知って驚いていらっしゃった。


話題4 視覚障碍者が点訳グループにボランティア参加してできることは?
 写本
 触読校正(主に分かち書き)
 何もできそうにない(ご意見でした)


話題5 点字の学習について
 教科書の図形などは実践で力がつく。
 全国教科書点訳連絡会に参加する(年会費要・参加費要・資格不要・セミナー有)。

◎分かち書き  点訳のてびきを見てもわからない時どうするか?
 最後に聞いてみる人を決めている。
 地域の勉強会があるのでそこで質問する。
 東海点字研究会で質問する(名古屋盲人情報文化センター・鶴舞中央図書館点字文庫で開催)。

◎特殊点訳の勉強の方法
 本を読んで自分たちで勉強会をする。
 変換ソフトの勉強会をする(Win-bes)。
 数学図形は先輩に聞きながら知恵を出し合ってやっていく。

 他にも数学や鍼灸医療・天体など役立つ情報を教えていただきました。
 視覚障碍者の皆さんから漢点字の素晴らしさのお話をたくさんお聞きしました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 終了後 グループ間で話し合いが行われていました。
 今回、こうした話し合いの場で参加者それぞれが教えあうことができて、とても有意義な集いだったと思いました。
 お役立ち情報と思われることをNBNホームページの掲示板に載せてもらったりできるといいですね、ということで閉会となりました。




〜〜 7月1日 総会 〜〜


第15回 総会 報告



 7月1日(日) あいにくの雨の中、午前9時30分から名古屋市総合社会福祉会館 7階 中会議室にて、23名の出席者と名古屋市社会福祉協議会から小林陽(あきら)様と内田日佐子様にご参加いただき開催しました。

@平成23年度活動報告(木全代表)
1)平成23年11月 NBN通信第21号発行。
2)平成24年 4月 勉強会・交流会。参加者 25名。
 勉強会は「名古屋災害ボラネット」の岡田雅美(ますみ)様から、東日本大震災の被災地におけるボランティア活動の経験からのお話。
3)平成24年 7月1日 総会・交流会
 交流会は愛知県立岡崎盲学校音楽科教諭の森崎先生を囲んでの交流行事として 岡崎盲学校の生徒と震災復興応援メッセージCDを作成された折のお話を中心に。
4)前年度から改良を試みていたホームページの「点字情報データベース」は年度初期より稼動した。

   皆さんの承認をいただきました。

A平成23年度会計報告(山口)および会計監査報告(住田)
   両報告とも承認されました。

B役員・委員 改選
   今年度は役員・委員の改選期にあたり、以下のとおり新役員・新委員が選任されました。

   【 役 員 】
代   表   中西 和子
副 代 表   細川 陽一(再任)
同     木全 三保子
会  計    大倉 裕子
会計監査   山口 益実

   【 委 員 】
広  報     浅田 浩子(再任)
同      石川 布巳代
広 報(点訳) 中井 慶子


   【ホームページ管理】
         中島 正二(再任)
         平瀬 徹 (再任)
         山口 益実(兼任)


C平成24年度活動計画
  中西新代表から、早い時期に新役員・新委員で相談して決めるので一任して欲しい旨説明し、承認されました。

D平成24年度予算計画
  中西新代表から、議案Aの会計報告の中で説明があった 新年度に支出することが明らかなホームページの管理・改善費用とサーバーレンタル料以外は、新年度の活動計画を検討する中で決めていくことにしたい旨を説明し、承認されました。




「盲学校の生徒さんたちと歌を作られた森崎先生を囲んで」報告



 日 時 : 7月1日(日) 11時〜12時30分森崎裕美子先生のアップ
 場 所 : 名古屋市総合社会福祉会館 7階 中会議室
 参加者 : 23名、他 社協から2名

 総会後、岡崎盲学校音楽科教諭 森崎裕美子先生にお越しいただきたくさんのお話をお聴きしました。
 はじめに ご自身の紹介、そして学校の紹介をしてくださった後、震災ボランティアとして2011年5月に東日本大震災の被災地(宮城県石巻市)へ行かれた時の写真をスクリーンに映しながらお話ししてくださいました。映像ではわからないけれど悪臭との戦いで、しかもがれきが散乱していて、下を見ながらでも歩くのが大変だったそうです。また、仮設住宅に救援物資を持っていった時にはジャージや 何度でも使用可能な箸が人気。でも一番人気は・・・野菜だったそうです。

 一方、震災後新聞やテレビからたくさんのニュースが流れてくるが、中学部の生徒の多くが全盲でテレビなどの映像が分からないために理解できないことが多く、もっと詳しい様子が知りたくて質問が相次いでいた。そこで先生は「自分の目で見て、さらに五感で被災地の様子を感じ取り、子供たちに伝えたい」という想いが強くなり現地に行くことに決めたそうです。
 震災直後、高等部の生徒たちは自分たちも何かをしたいと「校門での募金活動」をすることにした。しかし、自分で働いて得たお金ではないし、自分たちが被災地に行っても邪魔になるし、とあれこれ 考え続けた。中学部の生徒の一人は「今回ほど自分が障碍を持っていることで何もできないことを悔しく思ったことはない」と感想を書いていたそうです。
森崎裕美子先生と平瀬徹の2ショット
 その年、学校では文化祭が予定されており、その中で毎年行っているフィナーレの合唱でオリジナルソングを作ろうと先生が中学部の生徒に提案したところ、「復興支援ソング」を作って歌いたいという話が浮上し、子供たちの熱意に押される形で話が進んでいった。 
 そこで、子供たちが被災地について知っている情報を各自が持ち寄って話し合い、それらを元にして手紙のように歌詞を書いてくる宿題を出したところ 全員がしっかり提出。その中からみんなで言葉を選んで 曲を作ったそうです。
 そして、小学部・高等部の生徒たちも一緒になって練習を始め、特に中学部の生徒は普段の勉強よりさらに自発的に練習を重ね、また一般校の中学の吹奏楽部の皆さんの参加もあって文化祭のフィナーレでは100人以上の大合唱となり感動的な幕切れを迎えたそうです。
 しかも この「復興支援ソング」を東北の盲学校・視覚支援学校などに届けたい、という声が子供たちからあがり、CD『希望 〜 岡盲からのメッセージ』を作って 送ることになったそうです。こうしたことは、子供たちの「自分たちに何か出来ることをしたい」と思う気持ちが強かったことはもちろんですが、学校側の応援もあってみんなでやり遂げたたくさんの出来事は貴重な体験となって、彼らの心に深く刻まれただろうと、お話しをお聞きした私たちもうれしく・うらやましくなりました。

 そして、練習中の様子を詳しく見せていただけるはずのところ、少し見ることができただけでしたが、私たち点訳者にとってこれも貴重な映像でした。
 続いて、作成されたCDの合唱を聞かせていただきました。
言葉の一つひとつが優しい声かけの心温まるもので、歌っている子供たちが語りかけているようでした。    
 その後、学校が「交流 及び共同学習」として実施している近隣の一般校との交流・そこでの同学年間でのふれあいなどについてお話をお聞きしました。
質問コーナーでは、生徒さん達の就職先の現状・漢字指導について・墨字から点字への切り替えについて・立体図形の子供たちの認識・楽譜点訳の使用状況、点字を使用する先生方の点字と墨字の活用割合などをお訊きすることもできました。

 なお、「復興支援ソング」を作る過程で子供たちが書いた作文では、「大変な思いをしている人たちに自分たちにできることは何だろう」と悩み続けている気持ちが「め」の字がたくさん続く点字文面から感じとれましたとのことでした。

 また 途中で回覧していただいた学校紹介資料によると   
 点字使用者は 幼稚部で3名(墨字0名)、小学部13名(3名)、中学部8名(1名)、高等部普通科7名(2名)、高等部本科保健理療科2名(7名)、高等部専攻科理療科3名(6名)
 合計 点字 36名(19名)とのことでした。

 今回、森崎先生から貴重なお話をたくさん聴かせていただきました。学校関係者の皆様のご理解・ご支援のお陰と感謝申し上げます。   
 最後に、生徒の皆さんが綴った詩からできた「希望へのメッセージ」を。




「希望 〜 岡盲からのメッセージ」


詩・曲 : 岡崎盲学校中学部
     森崎裕美子   
1. つらく悲しいこともある
誰のせいでもないのに
大丈夫ですか
体に気をつけて
一日でも早く笑顔が戻りますように
前向きになれない時もあるさ
つらくて嫌になる時もあるさ
その時は耳を澄ませて 
きっとぼくらの声がするから
頑張ってるね
悲しくても苦しくても
ぼくらはみんな友達 (大丈夫) 
今 生きて(い)ること
感謝の気持ちを忘れない
どんな時も世界中のみんなが仲間だから
私たちの声が届きますように

2. 今 ぼくたちにできること
一生懸命考えた
元気を出すこと
無事を祈ること
一日でも早く 笑顔になりますように
幸せな未来を作ること
みんなが持っている同じ夢
その夢を語り続けて
誰もみんな一人じゃないから
頑張ってるね
悲しくても苦しくても
ぼくらはみんな友達 (大丈夫) 
今 生きて(い)ること
感謝の気持ちを忘れない
どんな時も世界中のみんなが仲間だから
私たちの声が届きますように
幸せを願う 無限大の力を









名古屋点訳ネットワーク事務局

名古屋市社会福祉協議会 ボランティアセンター内
   〒462−0844 名古屋市北区清水4−17−1
Tel 052−911−3191
Fax 052−913−8553

連絡先: NBN アドレス:daihyo@n-braille.net