N B N 通 信 37 号

名古屋点訳ネットワーク
2019年5月発行







―・― 目 次 ―・―





1.  3月10日(日)『点訳のてびき第4版』勉強会のご報告

2. 第22回 名古屋点訳ネットワーク総会のご案内

編 集 後 記






1. 3月10日(日)『点訳のてびき第4版』勉強会のご報告



山田さん




3月10日(日)、名古屋市総合社会福祉会館にて「視覚障害者生活情報センターぎふ」館長・山田智直さんを講師にお迎えし 『点訳のてびき 第4版』の勉強会を開きました。

 参加したのは合計48名。会議室が満員となり、みなさんの関心のほどが伺えました。
 山田さんのお話は、1969年の日本点字委員会の発足、 そして1971年の「日本点字表記法」でなされた点字表記の統一など点字の表記法の推移の説明から始まりました。 今回の参加者でその時代を知っている点訳者は少なく、点字表記の歴史の話を興味深く聞くことができました。 その後、山田さんは視覚障がい者という視点も含め、『点訳のてびき第4版』に沿って今回の変更点や新たな説明などをひとつひとつ解説してくださいました。

 1990年に『点訳のてびき』が発行されて以来、1991年には第2版で「和語・漢語」の扱いが明確になり また、 2001年には第3版で「する」「複合動詞」についての考え方や読点・中点の用法の説明をするなどそれぞれ「点字表記法」に基づいて改訂されてきました。
そして今回は20年ぶりに点字表記が改訂されたことになります。
大きな変化はないということですが、改訂に伴って『点訳のてびき第4版』では、 これまで点訳者泣かせの曖昧な部分が「備考」「参考」「処理」「コラム」の中に明記されています。
例えば「うれしなみだ」は「形容詞の語幹を含んでいるから切らない」こと(p.67備考1)、 「中点」は語の並列のみに使い、言い換えの中点はなくなったこと(p.102)、 また、「点訳者挿入符」という語は「点訳挿入符」に変わったこと(p.100)、 「カギ類で囲んだ文の並列」(p.105)など、細かい部分について点訳者へと明快に説明してあります。
さらに、スラッシュ(/)の扱い(p.127コラム25)、空欄の数を示す場合(p.129処理)、記号間の優先順位(p.131)、 読点を省略しない場合の書き方(p.133備考)など点訳者の疑問となりがちな部分も明確に説明されており、点訳する際、確認できる情報が満載です。

ここではすべてをお伝え出来ませんが、山田さんの、細かい解説といろいろな質問や意見への柔軟な回答のおかげで、点訳する私たちにとって今回の勉強会は楽しく非常に参考になるものになりました。

みなさんもぜひ『点訳のてびき第4版』を読みながら、今一度点訳の楽しさを味わってください。








2.第22回 名古屋点訳ネットワーク総会のご案内


 今年も下記の通り総会を開きます。今回は「視覚障がい者の読書環境の変化」という題目での講演があります。みなさまぜひご参加ください。

日時6月2日(日) 10時〜13時
場所名古屋市総合社会福祉会館6階 多目的活動室
内容総会・講演会
総会:2018年度活動報告、2019年度活動計画、他
講演:「視覚障がい者の読書環境の変化」
講師:植村 要さん
参加費無料
参加申し込み方法NBNへメールで


 今回お話しくださるのは植村 要さんです。
植村さんは株式会社図書館総合研究所・特別顧問であり、また、立命館大学人間科学研究所・客員研究員でもいらっしゃいます。
今回は、視覚障がい者の読書環境の状況とその変化についてお話しいただきます。

植村さんは、1968年に岐阜県生まれ。小学1年のときにスティーブンス・ジョンソン症候群という病気により視覚障がい者となりました。 小学4年のときに盲学校に転校し、マッサージ・鍼灸の資格を取って病院に勤務されましたが、2001年、33歳のとき大学受験。 その後大学院へと進学され、視覚障がい者の医療社会学を研究されました。
現在は株式会社図書館総合研究所に勤務され、主に公共図書館向けに配信する電子図書館のアクセシビリティに関するお仕事をしていらっしゃいます。

以下は植村さんからのメッセージです。

「点字やDaisyだけでなく、電子書籍など、視覚障がい者が読書に利用できるものは増えてきました。
また、視覚障がい者も中途失明者の割合が増え、読書するときのリテラシーも変化してきていると思います。 点字に限定したお話にはなりませんが、技術の変化と視覚障がい者の変化に伴って、 近年の視覚障がい者の読書環境がどのような状況にあるのかについて、ご参考にしていただけるようなお話ができるかもしれません。」








◆ 編集後記 ◆


3月の勉強会には、点訳者に加えて点字使用者も参加してくださいました。 「点字使用者が勉強してまで読まなければいけない点字表記とはいかがなものか」という意見もありました。
山田さんは「点字使用者は受け身でいいと思っている。 そして、“与えられたもの”を読むことになるので、提供する側はある程度統一された点字表記が必要」とおっしゃっていました。
点字表記が変わることに違和感を持たれている方も大勢いらっしゃることは「点字毎日」を読んでもわかります。
山田さんによると、情報提供をする側には、とにかく「読みやすいもの」を作ることが求められており、 さらに「点字の情報は1指1マスなので、目で漢字かな交じり文を読むのとはちがい、 先を読み超すのはむずかしい」とのことで、点字使用者の文の読み方とその読解力のすごさに改めて驚かされました。
広報 浅田浩子






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