N B N 通 信 40 号
名古屋点訳ネットワーク
2021年3月発行
―・― 目 次 ―・―
「第23回 名古屋点訳ネットワーク総会」のご報告
新井美千代さんの講演会に参加して (NBNサポーター 石川亜紗美
点訳情報サイトのご紹介
◆ 編 集 後 記 ◆
「第23回 名古屋点訳ネットワーク総会」のご報告
2020年6月20日(日)、オンラインで「第23回 名古屋点訳ネットワーク総会」を開きました。名古屋市社会福祉協議会の野川さまと陸川(くがわ)様も参加してくださいました。総会の内容は以下の通りです。
(1)2019年度活動報告
6月2日(日) 総会時講演
植村要さん「視覚障がい者の読書環境の変化」
株式会社図書館総合研究所・特別顧問、立命館大学人間科学研究所・客員研究員
12月1日(日) 勉強会
坂井仁美さん「触ってわかりやすい点字のために 〜 点訳の際の配慮や工夫」
全国高等学校長協会入試点訳事業部、名古屋盲学校非常勤講師、
点字教科書 (小学部国語・道徳、中学部国語・道徳)の編集主査、日本点字委員会会友
(2)NBN点訳データベース登録状況(2020年6月現在)
書籍 1,445
記事 3,406
歌詞 2,726 欠番あり
(3)2019年度会計報告(2019年6月1日〜2020年3月31日)
*19年度から会計の区切りを3月末に変更しました。
収入の部(単位 円)
項目 | 金額 | 備考 |
前期繰越 | 36,259 | |
市社協助成金 | 25,000 | |
合計 | 61,259 | |
支出の部(単位 円)
項目 | 金額 | 備考 |
総会・研修会費 | 14,140 | 講師謝礼・交通費等 |
広報活動費 | 4,546 | NBN通信・案内(紙代・封筒代・郵送代) |
ホームページ管理費 | 8,078 | |
次期繰越 | 34,495 | |
合計 | 61,259 | |
(4)2020−2021年度役員選出
代表 中西和子(大樹会)
副代表 細川陽一(名古屋盲学校)、花井敦子(はづき会)
会計 大倉裕子(みなづき会)
会計監査 木全三保子(はづき会、北コスモス会)
広報 浅田浩子(点訳サークルてんてん)、中井慶子(点訳サークルてんてん)、平松公子(知多市)
サポーター 牧原英治(半田市)、石川あさみ(半田市)
HP管理 中島正二(瀬戸市)、平瀬徹(大樹会)
(5)2020年度活動計画
点訳勉強会を計画していましたが、コロナウィルスを配慮し、今年度は中止とさせていただきました。研修・交流会費等に充てていた、市助成金はお返しすることになります。
(6)2020年度予算(2020年4月1日〜2021年3月31日)
収入の部(単位 円)
項目 | 金額 | 備考 |
前期繰越 | 34,495 | |
市社協助成金 | 45,000 | |
合計 | 79,495 | |
支出の部
項目 | 金額 | 備考 |
研修・交流会費 | 35,000 | 講師謝礼・交通費等 |
広報活動費 | 8,000 | NBN通信 |
総会・役員会経費 | 26,465 | |
ホームページ管理費 | 10,000 | |
合計 | 79,495 | |
新井美千代さんの講演会に参加して
NBNサポーター 石川亜紗美
2月14日、武豊町にて「視覚障がい者ガイドボランティアさくらんぼの会」の主催で開かれた、新井美千代さんの講演会「視覚障がいとともに生きる〜「出来なくなった」から「わかる」「出来る」へ そしてその先へ〜」を聞きに行きました。
新井さんは、教師として、バリバリ仕事をしていたときに、網膜色素変性症と診断され、弱視となり後に失明された方です。現在は、ライトハウスに勤務し、当事者の会などで、幅広く活躍されています。
私は、幼いころから弱視でしたが、まだ視覚障害の人をあまり知らなかった高校生の頃に新井さんに出会いました。新井さんは、見えないとわからないくらい自然体で、どこへでも出かけたりと、何てパワフルな方なんだろう!と、印象的でした。今回、そんな新井さんが、視覚障害とともに、どのようにここまで歩んでこられたのか、興味深くお聞きしました。
やはり、視野がどんどん狭くなり見えなくなっていった時は、できないことが増え、失敗ばかりで、見えるように装ったり、家族にイライラをぶつけたり・・・。相当の葛藤を経験されたそうです。それが「できる」「何とかやっていけるかも」と変わったきっかけは、視覚障害のある同じ立場の方と出会ったこと、そして、電話の5の点がわかって、さわって電話がかけれるんだ!と、気づいたところからと、おっしゃっていました。そこから、点字を覚えて、電話帳をつくり、自由に電話ができるようになったりと聞くことや触ること、工夫で、できることが増えて、前向きに生きられるようになっていったそうです。映画を音声で聞く「シーンボイスガイド」に出会い、再び映画を想像して楽しめるようになったことも、大きな転機だったようです。
私も、周りに見えない人が自分だけだったときは、ずっと、見えないから、あれもこれも難しいと思っていました。思い出したのが、高校の課外活動での映画鑑賞のこと。私は、字幕も映像もわからないのでいつもホールの外で一人ぽつんと待っていました。見えないからわからないという思い込みが、自分にも周りにもあったんだなと思い返しました。そんな状況から、音声パソコンを習ったのをきっかけに、情報や同じ視覚障害の仲間とつながることで、世界がガラッと変わっていった経験をしました。見えないなりの生活の工夫や道具を知れば、できることは、広がっていくものです。新井さんは、「どうしたらできるだろう?」と考えて、発見するのが、すごく楽しいとのこと。あるとき、太陽のあたたかさで、目的地の方向がわかる発見をして、自信になったとのお話もされていました。今もスマホを駆使して、食品の表示を読み取ったりしているとか。私も、まだまだ身近に工夫できることがあるのかも、探求心って大事だなと気づかされました。
そんな新井さんですが、思うようにいかないことは、たくさんあって、どうしても人の顔がわからないとか、外国人の店員さんに「プリン」が通じなくて、買いたいものが買えなかったとか、挙げればきりがないかもしれません。見えないことで、もどかしいことは、日々あるけれど、そんな体験も、仲間と共有すれば、笑い話になるから、不思議です。
社会の壁もあるとのお話もされていました。例えば、自分の用事なのに、付き添いの人に話をされることが多々あります。そんな時、新井さんは、「申請をしてるのは私です!私に話してください!」と、きっぱり伝えるそうです。私は、仕方ないかと流してしまうことが多いけど、今度は、ちょっと思い切って、一言、言ってみようと思います。
この先、私も、色々な場面で壁にぶつかることがあるかもしれませんが、新井さんのように、一歩、踏み出してみることで道が開けるのかもしれません。
今回の講演会は、住民向けの視覚障がい者理解講座ということでした。もっと多くの人に、新井さんのような経験をされた方のリアルな姿を知ってもらいたいです。そして、これから視覚障害になる人やまだ一人で悶々としている人に、見えない大変さをわかちあえる仲間がいること、ちょっとしたきっかけで世界が広がるんだということを知ってもらいたいです。
追記:今回の講演会は、NBNサポーターの牧原さんからのお誘いで、浅田さん、リハビリテーションセンターの山下さんと奥様を含む農園バンド・グリーンエンジェルズのメンバーとともに参加しました。ただいま、5月2日(日)に予定している第二回音楽祭に向けて、猛練習中。ぜひ聞きに来てください。
(申込先:070-1644-5665 石川)
点訳情報サイトのご紹介
@ 点訳ナビゲーター 点訳者のための点字表記検索システム
「読み方・漢字仮名交じり表記・点字表記・注記」が一目でわかるようになっています。
分かち書きに迷った時など、簡単に単語検索ができます。
https://ten-navi.naiiv.net/
A 点訳フォーラム
『点訳のてびき 第4版』をより深く理解してほしいという思いで、『点訳のてびき第4版』(以後「てびき」)の編集委員を務めたメンバーの有志と点字図書館(視覚障害者情報提供施設)点字担当者の有志、6名が中心となって立ち上げたサイトです。点訳の知識のほかパソコン点訳についても解説しています。
https://tenyaku.jp/about/
◆ 編集後記 ◆
昨年に行われた総会にZOOMで参加してくださった皆様、ありがとうございました。
オンラインのおかげで日ごろお会いできなかった方のお顔が見られて役員一同喜んでおりました。今年度の活動計画について役員で検討しましたが、結局実施できず申し訳ありません。
そんな中、新井さんの講演会に参加しました。計り知れない苦悩や葛藤を見せず、いつも前向きで明るい新井さん。その秘訣は「幸せは人が決めるものではなく自分が決めるもの」でした。日々の生活で小さな幸せや喜びを見つけ積み重ねていく新井さんの生き方を見習おうと思いました。
広報 浅田浩子
名古屋点訳ネットワーク 事務局
(名古屋市社会福祉協議会 ボランティアセンター内)
〒462−8558 名古屋市北区清水4−17−1
Tel 052−911−3180
Fax 052−913−8553
NBN ホームページ http://www.n-braille.net/
NBN E-MAIL: daihyo@n-braille.net