今は昔のこんなこと
布団はなくても眠れるが「蚊帳」がなくては眠れなかった。
「夜這い」には、泥棒と間違えられないための作法があった。
居候、後家さん、花柳病に良妻賢母、恥ずかしがり…
かつては日本人皆が共有していた日常の風景とエピソード。
今は昔の言葉たちにまつわるアノ気持ちが、なぜかしみじみ蘇る、
笑いと郷愁の絶品エッセイ集。
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水神 上・下
九州は久留米有馬藩の江南原と呼ばれる地域一帯。
筑後川と巨勢川という豊かな川水が側を流れながらも、
台地であるために、川水は見事に迂回してしまう。
大河を流れる水は一滴も―。
そのために農作物の育ちは常に悪く、お百姓さんは貧しく、常に飢えているような状態。
嘆きの声すら掻き消す水流。
ここ筑後川に堰を築くため、水涸れ村の庄屋五人が身命を賭して戦いを挑む!
気概に共鳴した老武士の奔走 ―。
遂に工事が始まった。大石を沈めては水門を作り、水路を切りひらいてゆく。
百姓たちは汗水を拭う暇もなく働いた。
「水が来たぞ」。苦難の果てに叫び声は上がった。
子々孫々にまで筑後川の恵みがもたらされた瞬間だ。
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黒書院の六兵衛
物語は明治元年、無血開城後の江戸城を舞台に始まります。
最も重要な一室である黒書院にじっと座ったままの謎めいた侍の姿を通して、
武士や組織、革命とは何かをブラックユーモアを交えて解き明かします。
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螢の橋 上・下
徳川の治世が始まった頃。
青年平蔵は恋人のお登勢に支えられ、新しい美濃茶陶を生み出そうと修業を積んでいた。
ある日平蔵は東庵という謎めいた僧侶と出会い、強い友情を互いに感じる。
しかし、東庵には隠された顔があった。
『板倉籠屋証文』から浮かび上がった意外な新事実を元に
政治、芸術にかける男の野心、恋を雄大に描く長編時代小説。
後に数々の国宝をつくり出す名陶工・野々村仁清の下で頭角を現していく平蔵。
豊臣家の再興を担う一味に担ぎ上げられ、
東庵という僧侶に身を変えた真田幸村の遺児・大助。
二人の運命的な出会いが、平蔵の陶工としての夢、
そして幼馴染みお登勢との恋までも狂わせていく…。
豊臣から徳川への時代の流れに抗う男女三人の過酷な運命の行方は?
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最新遺伝学でわかった病気にならない人の習慣
ガン、アルツハイマー病、生活習慣病…病気の遺伝子が「オフ」になるちょっとした
コツ。
東大の大人気教授が明らかにす〈遺伝〉と〈習慣」の本当の関係
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検事霞夕子 風極の岬
北海道に単身赴任した検事・霞夕子。
凶悪事件の少ない落ち着いた日々だったが、事件発生の急報が入った。
現場で捜査に加わる夕子の勘が捉えた、かすかな違和感、些細な事実。
「いったい、どういうことなのかしら…」。
夫と妻、父と娘、姉と弟―北の断崖に渦巻く人間関係のあや。
人生の危うさ、心の弱さを見つめてきた著者による出色の短編集。
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アリバイの彼方に
ホステスが扼殺された。彼女は常連客の誰かを強請っていたらしい。
容疑者として浮かんだのは大企業のエリート社員喜多川。
捜査にあたった刑事・湯原の高校時代の同級生だった。
だが喜多川には鉄壁のアリバイが!(代表作)。傑作ミステリー集。
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光る崖
名古屋地検の検事・千鳥朱子は、
秘めた関係にある服飾MD(マーチャンダイザー)郷原の誘いを断れず、
飛騨へ旅に出かけた。旅行後、名古屋市内で傷害致死事件が発生。
朱子の前に現れた参考人は、旅先で知り合った女性・北沢昌代だった。
事件の調べを進めると、背後に女子高生売春グループの存在が浮かび上がってきた。
―初めて女性検事を主人公に配した「記念碑的作品」が新装版で登場。
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オレンジ色のステッキ
杉原爽香、39歳の秋
上司の身勝手な言動に嫌気がさした瀬沼は、会社を無断欠勤。
爽香との打合せにも現れず、職を失ってしまう。
リン・山崎が爽香をモデルに描いた裸婦像の公開、病に倒れた兄・充夫一家の生活費…。
悩みが尽きない爽香は、瀬沼の女性問題にも係らざるをえなくなる。
さらに、部下の久保坂あやめが会社で襲われ…。
登場人物が読者とともに年齢を重ねる人気シリーズ!
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三毛猫ホームズのプリマドンナ
〈声楽コンクール〉の前夜、優勝候補ナンバーワンの井田貴子が何者かに狙われた!
咽喉に悪い激辛の薬味をサラダに入れられたのだ。
不測の事態の発生を恐れた審査委員長の要請で、
警視庁の片山刑事は、しぶしぶ会場に出かけたが…。
超人気シリーズの短編三編に、著者の自伝的エッセイ 「三毛猫ホームズの青春ノート」を加えた
珠玉の作品集!
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三毛猫ホームズの歌劇場
ピアノコンクールで一等賞をとった女の子が、演奏会を前にして行方不明!
観光気分で、音楽の都ウィーンにやってきたホームズたち一行は、
またもやトラブルに巻き込まれた。
その女の子、不思議なことに覆面をしてコンクールに出場したという。
やがて、柄にもなく片山刑事らがオペラを観ている最中、劇場内でついに殺人事件が発生!
演奏会の日が近づき大混乱の中、この難題を解決するのは?
観光おあずけ、それでも元気な三人と一匹の贈る超人気シリーズ、
優雅でにぎやかに第13弾!
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極北クレイマー
病院が消えていく…
沈没する地方医療を救うのは誰か
赤字病院に左遷された外科医・今中の前に現れた謎の女医・姫宮の狙いは?
財政破綻にあえぐ極北市。
赤字5つ星の極北市民病院に、非常勤外科医の今中がやってきた。
院長と事務長の対立、不衛生でカルテ管理もずさん、
謎めいた医療事故、女性ジャーナリストの野心、病院閉鎖の危機…。
はたして今中は桃色眼鏡の派遣女医・姫宮と手を組んで、医療崩壊の現場を再生できるのか。
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三毛猫ホームズの登山列車
片山刑事たち、お馴じみのホームズ一行が訪れたのは、スイスの観光名所ユングフラウヨッホ。
気温と気圧の低さにバテ気味の片山は、展望テラスから落ちそうになった、多田靖子を救った。
彼女の姉は結婚式の当日、相手が来なかったことを苦に自殺していた。
ところが、その相手の男を、靖子がこのヨーロッパで見かけてしまい事件は急展開!
一方、靖子の連れが、苦手の「お見合いおばさん」だと知った片山は…。
今回もついつい事件に引きずり込まれ大忙し、帰国はいつになるやら、人気シリーズ第14段!
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等伯
安土桃山時代から江戸初期にかけて活躍した、七尾出身の絵師・長谷川等伯。
国宝中の国宝とも称される「松林図屏風」を描いた等伯の波乱に満ちた生涯。
戦国の世にあって「天下一の絵師になる」という夢を抱き画業に打ち込んだ等伯の生涯を、
歴史的事件を交えながら描き出される等伯の姿とは…。
平成23年1月22日から平成24年5月13日 日本経済新聞連載
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