世に棲む日日(二)
海外渡航を試みるという、大禁を犯した吉田松陰は郷里の萩郊外、
松本村に蟄居させられる。
そして安政ノ大獄で、死罪に処せられるまでの、わずか三年たらずの間、
粗末な小屋の塾で、高杉晋作らを相手に、松陰が細々とまき続けた小さな種は、
やがて狂気じみた、すさまじいまでの勤皇攘夷運動に成長し、
時勢を沸騰させてゆく。
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世に棲む日日(一)
嘉永六(1853)年、ペリーの率いる黒船が浦賀沖に姿を現して以来、
攘夷か開国か、勤王か佐幕か、をめぐって、国内には、激しい政治闘争の嵐が吹き荒れる。
この時期骨肉の抗争をへて、倒幕への主動力となった長州藩には、
その思想的原点に立つ吉田松陰と後継者たる高杉晋作があった。
革命期の青春の群像を描く歴史小説全四冊。
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武士の献立
江戸時代。
将軍家や大名家には、台所御用を勤める、武士の料理人たちがいた。
主君のため、刀を包丁に持ちかえて日々の食事をまかなう侍たちを、
人々は揶揄【やゆ】と親しみをこめて「包丁侍」と呼んだ。
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銀二貫
大坂天満の寒天問屋の主・和助は、仇討ちで父を亡くした鶴之輔を銀二貫で救う。
大火で焼失した天満宮再建のための大金だった。
引きとられ松吉と改めた少年は、商人の厳しい躾と生活に耐えていく。
料理人嘉平と愛娘真帆ら情深い人々に支えられ、松吉は新たな寒天作りを志すが、
またもや大火が町を襲い、真帆は顔半面に火傷を負い姿を消す…。
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利休にたずねよ
釜の湯音が、松籟【しょうらい】のごとく響いている。
瞼【まぶた】を閉じると、闇のなかに凜々【りり】しい女の顔がくっきりとうかんだ。
あの日、女に茶を飲ませた。
あれからだ、利休の茶の道が、寂【じゃく】とした異界に通じてしまったのは。
(本文より)
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よくわかる日本経済入門
現在の日本経済を知り、
今後の日本経済を
考えるために、
「常識」として
知っておきたい経済知識、
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たどたどしく声に出して読む
歎異抄
親鸞、東京は下町をゆく
歯切れのよいリズムと、飾りのない響き、江戸前のなつかしい説法で、心の湯浴みを!
迷いのつきないおれたちは、
どんな行をしたって
生きたり死んだりの
くりかえしをやめられないのだ。
アミダ仏は、それをあわれんで
おれたちみんなを救おうと
誓ってくださった。
悪人どもを
仏にしてくださるためなんだよ。
だから、
アミダにおまかせするしかない悪人は
浄土にいちばんちかいところにいる。
善人だって浄土に
生まれかわることができるんだから
ましてや悪人にそれが
できないわけがないじゃないか。
―『歎異抄』より
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カード・ウォッチャー
書き下ろし長編ミステリー
退社時刻は みんな揃って 17:55。残業なんてしてません。
労災調査を発端に次々と明るみに出るサービス残業の実態。
そんな中、変死体が発見されるのだが…
〈カードウォッチャー〉
タイムカードの打刻と勤務状態を検査する、労働基準監督官のこと
(正式名称ではありません)
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ビブリア古書堂の事件手帖
栞子さんと奇妙な客人たち
不思議な事件を呼び込むのは一冊の古書
鎌倉の片隅でひっそりと営業をしている古本屋「ビブリア古書堂」。
そこの店主は古本屋のイメージに合わない若くきれいな女性だ。
残念なのは、初対面の人間とは口もきけない人見知り。
接客業を営む者として心配になる女性だった。
だが、古書の知識は並大抵ではない。
人に対してと真逆に、本には人一倍の情熱を燃やす彼女のもとには、
いわくつきの古書が持ち込まれることも。
彼女は古書にまつわる謎と秘密を、まるで見てきたかのように解き明かしていく。
これは“古書と秘密”の物語。
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