世に棲む日日(四)
動けば雷電の如く、発すれば風雨の如し…。
わずか八十人で兵を挙げた高杉晋作のクーデターは、きわどく成功する。
幕府は、慶応二(1866)年、この長州藩を圧し潰そうと、天下の兵を糾合し、
藩の四境から進攻するが、時運はすでに移り変っていた。
威信の曙光を認めながら、しかし高杉はもはや死の床に合った。
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世に棲む日日(三)
狂躁の季節がきた。
長州藩は既に過激派の高杉晋作をすら乗りこえ藩ぐるみで暴走をかさねてゆく。
元治元(1864)年7月に、京へ武力乱入し壊滅、
8月には英仏米蘭の4カ国艦隊と戦い惨敗…そして反動がくる。
幕府は長州征伐を決意し、その重圧で藩には佐幕政権が成立する。
が、高杉は屈せず、密かに反撃の機会を窺っていた。
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新釈落語咄
「ガキの頃、太宰の『お伽草子』を読んだ感動はいまだに残っていて、
それを何とか落語に適用したい」と考えた家元が
「諸々の咄のあちこちに疑問を投じて、新たな解釈」を試みた
極めてユニークな〈現代落語論〉。
解説・大田光(爆笑問題)
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洛中洛外画狂伝
戦国末期の稀代の絵師・狩野永徳が、時の将軍・足利義輝や、松永久秀、織田信長らとの関わりの中で、
どのように成長してきたかを描く一代記。
わしは、狩野を越える。
若き天才である永徳の狩野家の中での苦悩や、政治・戦争に翻弄されながらも強
く生き抜く姿を描く。
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夕映え(下)
官軍と幕府軍の対立は激化の一途をたどるばかり。
彰義隊に身を投じた良助は、上野の山の戦に加わると言い、
おあきと弘蔵のもとへ最後の挨拶にやってきた。
お願いだから、生きていて…ただひたすらな親の祈りは届くのか。
江戸から明治へと大きくうねる時代の波は、人々の人生を容赦なく呑み込んでしまう。
移りゆく世相を克明に活写しながら、日々を懸命に守ろうとする市井の者たちの
生きざまと人情を謳いあげ
る感動長編!
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夕映え(上)
常連客で賑わう江戸は本所の縄暖簾「福助」。
おあきと弘蔵夫婦、見世の切り守りを手伝う娘のおてい。
平凡だが幸せな暮らしを営む一家の心配の種は、風来坊の息子・良助のこと。
奉公先を飛び出し彰義隊に志願したと風の噂で知り、家族は気が気ではない―。
江戸から明治へと、大きな時代の波に翻弄される市井の人々の暮らしと、いつの世にも変わらない親心。
激動の時代を庶民の視点からダイナミックに描き出す傑作時代長編!
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